【疾患概念】
肩甲帯の先天異常には,Sprengel変形(肩甲骨高位症),鎖骨・頭蓋骨異形成症,先天性鎖骨偽関節,先天性大胸筋欠損症などが該当する.これらの異常は肩甲帯のみの場合もあるが,それぞれに特徴のある他の異常を合併している例も多い.具体的には,Sprengel変形には頚椎変形(Klippel-Feil症候群),心臓と手の先天異常(Holt-Oram 症候群),先天性食道閉鎖などが,鎖骨・頭蓋骨異形成症には頭蓋骨・椎骨・骨盤などの骨化不全などが,先天性胸筋欠損症には同側上肢の形成異常(Poland症候群)が合併していることも多い.
【頻度】
肩甲帯の先天異常に関する発生頻度の報告は文献によってさまざまであるが,非常にまれな先天異常である.このまれな肩甲帯の先天異常のなかでは,Sprengel変形が最もよくみられ,男女比は1:2~3と女性に多く,左側にやや多く,両側例は約10%である.