【疾患概念】
肩鎖関節障害には,変形性関節症(以下OA),反復性の微小外力により発生する鎖骨遠位端骨融解症,肩関節外側,特に肩峰外側部を強打する介達外力により発生する外傷性損傷(肩鎖関節脱臼および鎖骨遠位端骨折が代表例)とさまざまな病態がある.特に外傷性損傷はスポーツ活動時での発生が多いが,歩行中での転倒や交通事故でも発症し年齢層も多岐にわたる.
肩鎖関節は肩峰および鎖骨遠位端の両関節面で構成され,肩甲胸郭関節の機能に関与している.また,同関節の支持機構は骨性要素の関与は少なく,静的安定化機構(肩鎖靱帯,烏口鎖骨靱帯:菱形靱帯・円錐靱帯)と動的安定化機構(僧帽筋,三角筋)が安定性に大きな役割を示している.このため,軟部組織の安定化機構の損傷程度に応じて治療方法が選択されることが多い.
【臨床症状】
(1)身体所見
受傷機序,症状(疼痛)の部位や性質,受傷前の職業やスポーツ活動の聴取は治療方法の