【疾患概念】
変形性肩関節症は,中高年の肩関節の痛みと動きの制限の数ある原因の1つである.肩関節は膝や股関節などの荷重関節に比較し,罹患率はそれほど高くはない.また,欧米に比較しても本邦において一次性肩関節症の罹患率は少ないが,近年増加傾向にある.変形性肩関節症は他の関節と同様に,明確な原因がない一次性肩関節症と,外傷や疾病に続発する二次性関節症に分類される.二次的変形性肩関節症の原因として,手術後,広範囲腱板断裂,化膿性肩関節炎,上腕骨頭壊死,上腕骨近位端骨折,および神経病性関節症(Charcot関節)などが挙げられる.特に近年は,高齢化社会に伴い,広範囲腱板断裂に続発する関節症(cuff tear arthropathy)の頻度が増加している.
【臨床症状】
変形性肩関節症の主な症状は,運動時もしくは安静時の疼痛と関節破壊による可動域制限である.肩関節の疼痛は,いわゆる頚部から肩にかけて