【疾患概念】
関節リウマチ(RA)は,滑膜炎による全身性の多発関節炎を主とする自己免疫疾患である.炎症が関節滑膜に生じて増殖を起こし,免疫細胞が活性化され,炎症性サイトカインが産生・放出される.血管増生やフィブリノイド変性によって増殖滑膜から肉芽組織・パンヌスが形成され,骨・軟骨の破壊,関節変形や強直をきたす.破骨細胞も活性化されることで骨破壊もより進行する.RAは関節だけでなく,皮膚や眼,血管などの関節外症状,微熱や貧血などの全身症状も引き起こす.肩関節は手指・手関節に次ぎ,膝関節と並ぶ好発部位である.
【臨床症状】
疼痛(安静時,動作時,起床時・夜間など),可動域制限,筋力低下,腫脹・熱感などが認められる.強直例では疼痛を認めず,可動域制限のみが愁訴となる.問診では疼痛の程度,可動域制限や筋力低下に伴う日常生活動作における障害,他の関節症状を聴取する.
診断のポイント
RA肩では,軟骨破壊により関節裂隙狭小化を主とする一次性関節症様変化をきたす例に加え,骨破壊が上腕骨頭のみならず肩甲骨関節窩にも及び上腕骨頭の中心性偏位をきたす例も認められる.また,慢性炎症による腱板菲薄化も特徴である.菲薄化から断裂に至った例では腱板断裂性肩関節症を呈する.
診断には,単純X線撮影(正面,スカプラY,軸写)およびCT(横断像,冠状断像,矢状断像の3方向,3D撮影)による関節裂隙狭小化,上腕骨および関節窩の骨破壊・変形,骨嚢腫,上腕骨頭偏位などを評価する.MRIではT1およびT2強調像に加えて,脂肪抑制像やSTIR像を撮影する.関節水腫や滑膜増生の程度,米粒体や遊離体の有無,骨髄浮腫,腱板の状態,腱板筋群の脂肪浸潤や萎縮などを評価する.超音波検査は関節水腫の程度や腱板の状態を外来で容易に行えるため有用である.
専門病院へのコンサルテーション
薬物治療による臨床的寛解が得られていない場合はRA専門
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