【疾患概念】
上腕骨近位部骨折は大胸筋付着部より近位の骨折を指し,骨粗鬆症との関連が強く,大腿骨近位部骨折(頚部骨折含む),橈骨遠位部骨折とともに代表的老人骨折の1つといえる.
【頻度】
全骨折の4~5%で,上腕骨骨折全体の45%を占めるが,老年層ではさらに発生頻度は高くなる.
【病型・分類】
(1)Neer分類(図12-2図)
骨頭,大結節,小結節,骨幹の4つのsegmentの組み合わせで表現され,簡便かつ骨頭の血流の状態を予測し,治療方針の選択に役立つ包括的分類法である.Segmentが相互に1cm以上離開するか,45°以上の回旋転位をした場合に限り,転位骨片と認識され,それ以外はminimally displaced fractureとして取り扱う.
(2)AO分類
Neer分類同様,転位骨片の数を重視するとともに,関節内・外骨折と区別することで骨頭の血流状態を重要視した分類である.