肘関節の支持機構は骨,軟骨からなる骨性構造と,靱帯,筋,腱などからなる軟部組織構造に二分され,これらはお互いに関連しあって機能している.
1.肘関節の骨構造
肘関節(elbow joint)は,上腕骨遠位端と尺骨および橈骨近位端で形成されている.上腕骨遠位端の骨性構造は,tie archといわれる関節面がlateral columnとmedial columnに挟まるトライアングル構造となっており,前方には橈骨窩と鉤突窩が,後方には肘頭窩がある.腕尺関節はいわゆる蝶番関節で,上腕骨軸に対して関節面部分は6~8°外反,約5°内旋している.一方,腕橈関節は橈骨頭と上腕骨小頭とで形成される球状関節である.また,近位橈尺関節は橈骨頭とlesser sigmoid notchとで形成され,橈骨頭は正円ではなく楕円であり,その長軸はlesser sigmoid notchに対して回内・外中間位で直交する.肘関節伸展,前腕回外位で上腕と前腕のなす角を肘外偏角(carrying angle)といい,男性で6~11°,女性では12~15°外反している.正常以上に肘外偏角が増加しているものを外反肘,肘外偏角が0°未満のものを内反肘とよぶ(図13-1図).
2.肘関節の靱帯構造
内側側副靱帯(medial collateral ligament;MCL)は上腕骨内側上顆と尺骨を連結し,主に外反ストレスに対抗する靱帯構造であり,前斜走線維(anterior oblique ligament;AOL),後斜走線維(posterior oblique ligament;POL),横走線維(transverse ligament;TL)からなる.なかでもAOLは最も強靱な靱帯構造で,肘関節のprimary stabilizerとも称され,内側上顆基部より起始し,鉤状突起内側のsublime tubercl
関連リンク
- 今日の整形外科治療指針 第8版/概説
- 新臨床内科学 第10版/9 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
- 今日の整形外科治療指針 第8版/上腕骨内側顆骨折
- 今日の整形外科治療指針 第8版/前腕の解剖
- 今日の整形外科治療指針 第8版/手関節の機能解剖
- 今日の整形外科治療指針 第8版/トピックス 手関節TFCC損傷に対する診断と治療
- 今日の整形外科治療指針 第8版/母指MP関節ロッキング,示指MP関節ロッキング
- 今日の整形外科治療指針 第8版/頚椎の解剖
- 今日の整形外科治療指針 第8版/腰椎・仙椎の解剖
- 今日の整形外科治療指針 第8版/下腿の機能解剖
- 今日の整形外科治療指針 第8版/小児期外反扁平足
- 今日の小児治療指針 第17版/小児外反扁平足