診療支援
治療

Smith骨折
Smith fracture
長田 伝重
(獨協医科大学日光医療センター 主任教授)

【疾患概念】

 Smith骨折は橈骨遠位端骨折のうち,遠位骨片が掌側に転位した定型的骨折の1つである.

【頻度】

 最も多い骨折はColles骨折で,Smith骨折は比較的低頻度である.


診断のポイント

 手関節の正・側面単純X線検査は必須である.側面像にて遠位骨片の掌屈転位を確認する.骨端線閉鎖前の小児は軟骨成分により骨折判断困難なことが多く,高齢者では2mmほどの尺骨plus varianceを認めることが多いので,健側X線を撮影し比較すると,診断の手助けおよび整復位の指標となる.また,関節内骨折を疑うときにはCTを追加することが大切で,関節内骨片の存在,転位の程度などが詳細に判断できる.


専門病院へのコンサルテーション

 Smith骨折は大半が手術適応であるので,専門病院へのコンサルテーションが推奨される.


治療方針

 転位のある骨折は徒手整復を試みる.徒手整復ギプス固定後にulnar varianceが健側差で2mmより大きい例や,関節内骨折でstep-offあるいはgapが2mmより大きい例は手術適応となる.ガイドラインではColles骨折,Smith骨折別の記載はないが,手術適応は同様である.側面像で横骨折の場合は整復位の保持が可能であるが,通常多い斜骨折では整復後も骨片の掌屈,掌側転位が発生しやすく,手術治療が必要である.


治療法

【1】保存療法

 腋窩伝達ブロック下に徒手的あるいはChinese finger trapによる2~3kgの牽引下に整復し,U字ギプスシーネで肘頭から中手指節(metacarpophalangeal;MP)関節近位まで,手関節やや背屈位で固定する.

【2】手術療法

 関節外骨折では従来のnon-locking plateによる支えプレート(buttress plate)固定を行う(図14-6).骨幹端部の掌側皮質が粉砕されている例や,関節内骨折例では掌側ロッ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?