診療支援
治療

正中神経麻痺(手根管症候群,円回内筋症候群,前骨間神経麻痺を含む)
Median nerve palsy
藤原 浩芳
(京都第二赤十字病院 部長〔京都市上京区〕)

1.手根管症候群

【疾患概念】

 手関節部において背側の手根骨と屈筋支帯の間に形成される手根管が,腱鞘滑膜炎,占拠性病変,変形などのために相対的に狭小化し,手根管内圧が上昇することにより正中神経が圧迫されて発症する.絞扼性末梢神経障害のなかで最も頻度が高く,中高年の女性に多発する.病因としては特発性のものが多いが,腱鞘炎,手の過度の使用,妊娠時の浮腫,骨折・変形癒合やKienböck病などの骨病変,ガングリオンなどの占拠性病変,長期血液透析によるアミロイドーシスなどがある.

【臨床症状】

 母指から環指にかけてのしびれや疼痛を認める.症状が進行すると母指球筋が萎縮し,母指対立運動(つまみ動作)が困難になる.また,夜間や明け方にしびれが増強する傾向がある.


問診で聞くべきこと

 手のしびれの部位,夜間や頻繁に手を使った際にしびれや痛みが増悪するかどうか,病状が進行すると母指球筋萎縮が出現し,つまみ動作が

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