診療支援
治療

肘部管症候群
Cubital tunnel syndrome
太田 壮一
(関西電力病院 部長〔大阪市福島区〕)

【疾患概念】

 上腕骨遠位の尺骨神経溝から尺側手根屈筋の二頭間(尺骨頭と上腕骨頭)にある腱性アーチ(Osborne band)までを狭義の肘部管とよぶ.厳密には,同部における絞扼性尺骨神経障害を肘部管症候群とよぶが,実際にはStruthers' arcadeにおける絞扼など肘部管外での絞扼も含まれることが多い.肘関節周囲骨折後の遺残変形や変形性肘関節症に伴って発症することがある.また頻度は低いが,ガングリオンや増生滑膜などの占拠性病変による圧迫や,解剖学的異常(滑車上肘筋,肥大した上腕三頭筋)による圧迫,習慣性尺骨神経脱臼などが発症原因として挙げられる.


問診で聞くべきこと

 外傷歴や職歴,スポーツ歴は必ず聴取する.糖尿病,関節リウマチ,頚椎症などの合併の有無も確認しておく.


診断のポイント

①病歴,臨床所見,電気生理学的検査をもとに総合的に診断する.

②小指や環指尺側のしびれ感が最も多い症状で,同部

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