【概説】
手関節は,8つの手根骨と多くの小さな靱帯から構成される複雑な関節である.したがって手関節内病変は,CTやMRIなどの画像所見では診断できない場合が多いが,手関節鏡を用いることで,それらを補完する診断情報を得ることができ確定診断につながる.また最近は数多くの手関節疾患に対して,低侵襲な鏡視下手術で加療することが可能となった.したがって現代の手関節疾患治療においては必須手技と言える.
手術に際しては,膝関節で用いる関節鏡よりも小径で(1.9~2.7mm),短筒(6.5~11cm)の30°斜視鏡を主に使用する.traction towerなどの牽引装置と牽引のためのfinger trap,小関節用のプローブやパンチなどの硬性小物,電動シェーバー(2.0~3.5mm径),RF(radiofrequency) deviceなどが必要である.
1.適応
【1】診断
従来の画像診断法では診断困難な慢性手関節痛.
手関節内骨折(橈骨遠位端骨折など)における関節内転位の把握.
それらに合併する手根靱帯損傷の有無と重症度診断(Geissler分類).
三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex;TFCC)損傷における損傷部位と重症度診断(Palmer分類class 1,Atzei分類など).
Kienböck病や尺骨突き上げ症候群における軟骨損傷・変性の重症度診断(Bain分類,Palmer分類class 2).
【2】治療
橈骨遠位端骨折に対する鏡視下支援整復固定術(arthroscopic assisted reduction and internal fixation;ARIF).
橈骨遠位端関節内骨折後変形治癒に対する関節内矯正骨切り術や切除関節形成術(del Pinal法).
舟状骨偽関節に対する鏡視下自家骨移植術.
TFCC損傷に対す
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