【疾患概念】
手関節が橈屈位を呈する先天異常疾患(図15-14図)であり,橈側列形成障害(radial deficiency)という.先天異常分類マニュアル(日本手外科学会)で,「Ⅰ.形成障害 B.長軸形成障害 1.橈側列形成障害」に分類される.発生頻度は20,000万出生に1人であり,男性に多く,両側性に多い.四肢,心血管系,泌尿器系,消化器系の異常を合併することや症候群(VATERおよびVACTERL連合,Fanconi貧血,Holt-Oram症候群など)の一症状としてみられる場合が多く,全身の病態把握が重要である.
診断のポイント
母指を中心とする橈側指,橈骨,肘に異常が出現する可能性があるため,診察時には手関節以外に手指や肘関節の異常に注意する.手関節橈屈(内反手,図15-14図)の原因となる橈骨形成障害は,X線で橈骨の遠位成長抑制(1型),低形成(2型),部分欠損(3型),全欠損(