【疾患概念】
尺骨が橈骨に対して相対的に長い状態にあった場合,手関節にかかる荷重の多くが尺骨を介して伝わる状況となる.その結果として,三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex;TFCC)損傷を含め尺側手関節部の障害・疼痛を引き起こす.このような状況を尺骨突き上げ症候群と称する.
問診で聞くべきこと
尺骨突き上げ症候群の診断においては,問診は重要であり,発症のタイミング(外傷性か否か),日常生活での手の使用状況(利き手/職業/趣味/スポーツ活動など)を必ず確認する.
必要な検査とその所見
触診にて疼痛部位の確認を行う.部位については手関節のランドマークを熟知し,解剖学的位置と疼痛部位を確認しつつ行う.遠位橈尺関節(distal radioulnar joint;DRUJ)不安定性の確認やulnocarpal stressテストなど,各種誘発テストを組