診療支援
治療

尺骨突き上げ症候群
Ulnocarpal abutment syndrome
建部 将広
(名古屋大学大学院医学系研究科四肢外傷学寄附講座 准教授)

【疾患概念】

 尺骨が橈骨に対して相対的に長い状態にあった場合,手関節にかかる荷重の多くが尺骨を介して伝わる状況となる.その結果として,三角線維軟骨複合体(triangular fibrocartilage complex;TFCC)損傷を含め尺側手関節部の障害・疼痛を引き起こす.このような状況を尺骨突き上げ症候群と称する.


問診で聞くべきこと

 尺骨突き上げ症候群の診断においては,問診は重要であり,発症のタイミング(外傷性か否か),日常生活での手の使用状況(利き手/職業/趣味/スポーツ活動など)を必ず確認する.


必要な検査とその所見

 触診にて疼痛部位の確認を行う.部位については手関節のランドマークを熟知し,解剖学的位置と疼痛部位を確認しつつ行う.遠位橈尺関節(distal radioulnar joint;DRUJ)不安定性の確認やulnocarpal stressテストなど,各種誘発テストを組

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