【疾患概念】
頻度の高い骨折で,骨折部位で顆部骨折,頚部骨折,骨幹部骨折,基部骨折に分類される.また骨折型は,横骨折,斜骨折,粉砕骨折に分けられる.
【病態】
直達外力,介達外力のいずれによっても生じる.骨間筋,虫様筋,側索および中央索の作用によって掌側凸の転位を呈し,屈筋腱との癒着を生じやすい.また,回旋転位を呈すこともある.
【臨床症状】
手指の疼痛,腫脹,変形を生じる.
問診で聞くべきこと
受傷機転,疼痛の部位,利き手,仕事,趣味について聴取する.スポーツ選手の場合は,そのレベルが治療方針決定に重要となることがある.
必要な検査とその所見
通常の2方向での単純X線像を撮影するが,正確な側面像は得にくく,必要に応じてCTや3D-CT像で骨折の転位を調べる.さらに小児では,骨端線離開や特有の回転性顆上骨折(rotational supracondylar fracture)があり注意を要する.
診断のポイント
X線像とCT像より骨折部位,骨折型,転位の有無と程度を評価する.回旋転位が遺残すると指交差を生じるため,手指屈曲させ指尖部が舟状骨結節へ向かうことを確認する.
治療方針
転位が軽度であれば中手指節(metacarpophalangeal;MP)関節屈曲位として徒手整復を行い,intrinsic plus肢位で手関節から背側ギプスシーネ固定,またはギプス固定(knuckle cast)とし,早期より近位指節間(proximal interphalangeal;PIP),遠位指節間(distal interphalangeal;DIP)関節の運動を許可する.徒手整復や整復位保持が困難な際は,次の手術療法へ移行する.
手術療法
透視下に整復が可能であれば,Kirschner鋼線にて経皮的に固定する.整復が困難な際は背側切開にて伸筋腱を縦割し,骨折部を観血的に整復した後にKirschne
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