【疾患概念】
ボタン穴変形とは手指変形の1つで,近位指節間(proximal interphalangeal;PIP)関節が屈曲位,遠位指節間(distal interphalangeal;DIP)関節が過伸展位を呈する変形である.
【病態】
ボタン穴変形は,複雑な構造をもつ指伸展機構のアンバランスによって生じる.正常解剖ではPIP関節の伸展に働く伸筋腱中央索が,何らかの原因により機能しなくなり,PIP関節が屈曲位を取ることにより変形が始まる.これと同時に,伸筋腱側索はPIP関節の掌側に転位するために,本来はPIP関節およびDIP関節の伸展に作用するべき側索が,PIP関節屈曲,DIP関節過伸展に作用することとなる(図16-7図).2本の側索の間から基節骨頭がボタンの穴から飛び出すようにして変形するため,ボタン穴変形とよばれている.
伸筋腱中央索が機能不全に陥る原因として最も多いものが関節リウ