【疾患概念】
手指末節部の屈筋腱,伸筋腱付着部より末梢の欠損損傷であり,主として労災事故などで生じることが多い.
【病態】
損傷のレベルと程度でさまざまな病態を呈する.予後を規定するのは,末節骨,爪床,爪母などの爪甲を司る背側損傷の程度と,腹側の軟部組織損傷の程度である.このなかで爪床,爪母は再建が難しく,末節骨や腹側軟部は再建が比較的容易である.このことが予後を決定する.
問診で聞くべきこと
損傷の病態は肉眼所見で明らかである.問診では治療に影響を与える要因について聴取する.1つは感染の危惧を予想する細菌汚染の程度を,受傷機転などから類推することである.もう1つは年齢,性別,職業などの患者背景などから要望を類推し,患者の希望を尋ねることである.
必要な検査と所見
単純X線画像は必須であり,理学所見として残存皮膚の血行状態と知覚検査を行う.そして,最も重要な爪床,爪母の温存状態を調査する.