診療支援
治療

手袋状剥皮損傷
Degloving injury
池口 良輔
(京都大学医学部附属病院リハビリテーション科 准教授)

【疾患概念】

 ローラーやプレスの機械に巻き込まれ手を引き抜く際に,手や指の皮膚が手袋状に皮下で剥脱される開放創のことである.指輪が末梢側に引っぱられることにより,指にこの損傷が発生すると,ring injuryとよばれる.剥脱された組織は挫滅されており,健常血管を探して血流再建を行っても再開されないことも多く,予後は不良である.

【臨床症状】

 開放創を呈し,完全に剥脱している場合は容易に診断可能であるが,不完全な場合は受傷原因から推測する必要がある.


問診で聞くべきこと

 受傷形態,機械の種類,受傷時間,喫煙歴,飲酒歴,抗凝固薬服用の有無,糖尿病など内科的疾患の有無などである.


必要な検査とその所見

単純X線検査:巻き込まれた機械の種類によっては骨折を伴うこともある.前腕遠位に創が及ぶ場合は,肘関節まで損傷される場合があるので,肘関節まで撮影する.

CT:骨折を合併する場合は,骨折型を把握し骨接合

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