診療支援
治療

手・指切断傷
Finger and hand amputation
本宮 真
(帯広厚生病院 部長〔北海道帯広市〕)

【疾患概念】

 手・指切断は,皮膚・骨・腱・血管・神経が損傷される複合組織損傷である.組織の生着には血管吻合による血流再開が必要であり,同部での再接着を成功させるためには,約1mm程度の血管吻合の技術が必要となる.損傷レベルの分類として,指切断には玉井分類が,指尖部切断には石川分類が用いられる.指尖部再接着の場合,静脈吻合が困難な場合には術後の瀉血療法により生着が期待できるが,遠位指節間(distal interphalangeal;DIP)関節より近位の切断(玉井分類zone Ⅲ以上)では,動脈に加えて静脈路の修復が必須である.中節骨基部よりも遠位の切断(玉井分類zone Ⅲ以下)で浅指屈筋腱および伸筋腱中央索が損傷されていなければ,近位指節間(proximal interphalangeal;PIP)関節機能の温存が可能であり生着後に良好な機能が期待できる.一方で,PIP関節よりも近位の切断(玉井分類zone Ⅳ・Ⅴ)では,修復腱の癒着や関節拘縮による可動域制限は必発であり,機能的な指とならないことも多い.

 生着率は57~90%と報告されているが,切断形態(鋭利切断,鈍的切断,挫滅切断,引き抜き切断)により異なり,挫滅・引き抜き損傷では生着率が低くなる.


診断のポイント

 手・指局所の評価の前に,全身状態および合併損傷に関しての評価を行う.その後,切断指および中枢断端を観察し,組織の損傷程度を確認する.不全切断であれば,指尖の知覚(特に痛覚)の有無および屈筋腱・伸筋腱の連続性を確認し,カルテに記載する.側副血行路で指尖の血流が一見保たれて見えるpulseless pinkの損傷があり,両側指動脈の損傷がありcapillary refilling timeが2秒以上の症例では,切断指に準じて動脈修復を行う必要がある.X線検査にて,骨の切断レベルと骨折型の評価を行う.


切断指の保存

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