診療支援
治療

Heberden結節
Heberden nodes
砂川 融
(広島大学大学院 教授(上肢機能解析制御科学))

【疾患概念】

 加齢に伴う手指遠位指節間(distal interphalangeal;DIP)関節の変形性関節症に伴う関節背側の結節状隆起のことであるが,変形性関節症そのものと同義語として使用されることが多い.原因は不明であるが,50歳以降の女性に見られることが多いため,女性ホルモンとの関連が疑われており,複数指が罹患することが多い.これまで疼痛は自然軽快するからと医療機関を受診しても放置されることが多かったが,近年患者数は増加し難治性の症例も多く,積極的に治療すべきと考えている.

【臨床症状】

 誘因なくDIP関節(母指では指節間関節)の疼痛が出現し,進行すると屈曲,まれに側屈変形を生じる.ガングリオン(mucous cyst)を合併することもある.疼痛は断続的で変形が完成すると消失することが多い.


診断

 DIP関節の外観(腫脹や変形)や圧痛,可動域(伸展)制限を認める.X線像上関節症性変化があれば診断は確定する.超音波検査ではX線で確認できない程度の骨,軟骨棘や疼痛が強い場合には血管増生が確認できる.


鑑別診断

 乾癬性関節炎では皮膚症状,X線像でpencil and cap変形が認められる.DIP関節では関節リウマチの可能性は低い.


治療方針

 原因不明なため対症療法しかない.NSAIDsの内服や外用剤を処方し,テーピングや装具での固定を行うが,症状が軽快しない場合は皮内針を使用しステロイド(トリアムシノロン 1~2mg)の関節内注射を行う.複数指罹患の場合は同剤40mgの筋注が効果的である.同剤使用にあたり関節内注射では伸筋腱断裂が,全身投与では血糖の上昇を認めることがあるので注意が必要である.薬物療法に反応しない,あるいは破裂を繰り返すmucous cystを合併する場合には手術療法を選択し,可及的に関節内の滑膜や骨・軟骨棘の切除を行う.Cystがある場合でも以上の操作でcy

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