【疾患概念】
加齢に伴う第1中手大菱形骨間(carpometacarpal;CM)関節の変形性関節症のことである.原因は不明であるが,基盤に関節包靱帯の機能不全があり,それに伴う関節の不安定性から変形が進行することが疑われる.
【臨床症状】
患者は「親指の付け根が痛い」と言って来院する.疼痛はペットボトルの開栓や家事といった物をつまんだりつかんだりして母指に力が入ったときや母指を開いたときに出現する.手の橈側中枢部分にある母指CM関節の疼痛や背側への突出を認め,進行すると第1中手骨の屈曲,内転変形(拘縮)を生じる.末期には末梢の中手指節間(metacarpophalangeal;MP)関節の伸展変形が出現する.変形の程度と疼痛の程度は相関しない.
診断のポイント
CM関節の外観(腫脹や背側突出)や圧痛,可動域(伸展,外転)制限を認め,握力やつまみ力が低下する.CM関節の不安定性の進行に伴いpi