診療支援
治療

合指症
Syndactyly
高木 岳彦
(国立成育医療研究センター 診療部長〔東京都世田谷区〕)

【疾患概念】

 隣接指同士が癒合し,指間部が上昇,狭小化あるいは指尖部まで癒合をみる病態である.妊娠前期の指放線が形成される時期の障害によって発生した,指列誘導異常に伴う合指症,妊娠後期に起こりうるとされる絞扼輪症候群に伴う先端合指症,尖頭合指症(Apert症候群など)などの先天異常疾患に伴う合指症などがあり,各々に基盤となる病態が異なる.

【頻度】

 報告によるが出生2,000人に1人程度とされる.男女比は2:1で男性に多く,10~40%で遺伝性が報告されている.

【病型・分類】

 基盤となる病態により,発生する合指に各々の特徴があるが,形態上は,指間が全く形成されない完全合指と,指間が正常の深さまで形成されない不全合指とに分けられる.また,骨性癒合を伴う骨性合指と,これを伴わない皮膚性合指とに分けられる.これらは治療計画を立てるうえでの参考にもなる.


問診で聞くべきこと

 他の先天異常を合併することが多い疾患である.指列誘導異常による合指症であれば,同様の病態で中央列多指症や裂手症についても起こりうるため,同形態異常が合併していることがある.先天性絞扼輪症候群に伴う先端合指症であれば,他の部位における絞扼輪やリンパ浮腫,切断指の合併の有無を聴取,診察する.また尖頭合指症(Apert症候群など),oculodentodigital dysplasia(ODDD)など特徴的な先天異常に伴う合指症が知られているため,それら先天異常疾患について理解したうえで合併異常の聴取を行う.


必要な検査とその所見

 単純X線写真にて骨性癒合(骨性合指)の有無,癒合部(先端末節骨のみの癒合か,基節骨を含む癒合かなど)について評価を行う.


診断のポイント

 隣接指同士が癒合しているため一目瞭然であるが,僅かな指間上昇を気にする親もいるため,不全合指についても注意深い観察が必要である.また治療戦略を立てるうえで,合併

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?