診療支援
治療

巨指症
Macrodactyly
河村 太介
(北海道大学大学院 助教)

【疾患概念】

 先天的に一指もしくは複数指が長さ・太さともに肥大している.骨の一次的な肥大を伴っており,真の巨指症とも表現される.一方,神経線維腫,リンパ管腫,血管腫,片側肥大,迷入筋などの原因疾患に伴って生じる二次的な指の肥大は,偽性巨指症とよばれる.

【病態】

 片側罹患が多く,罹患頻度は示指,中指,母指,環指,小指の順で高いとされる.罹患指では,神経の腫大や皮下脂肪の腫瘍様増殖がみられる.特に罹患指に偏位があるときには凸側の指神経に肥大がみられるため,指神経の異常を巨指症の原因とする考えもあるが,明らかな原因は不明である.発生に男女差はみられず,家族発生の報告もない.

【臨床症状】

 生下時から変形があり,成長とともに肥大の比率が変化しない静止型と,成長とともに罹患指の肥大がさらに進行していく進行型がある.進行型では二指以上が罹患し,手掌や前腕など近位にも肥大を伴うことがある.軟部組織の肥大により,指の可動域が障害される.


問診で聞くべきこと

 偽性巨指症の原因となる神経線維腫症(von Recklinghausen病)など,鑑別診断に関連する家族歴の有無を確認する.


必要な検査とその所見

 単純X線で,静止型では指節骨のみの肥大を認める.進行型の症例では,骨の肥大に加え軟部組織の肥大もX線で確認できる(図16-18).


鑑別診断で想起すべき疾患

 偽性巨指症を呈する神経線維腫,リンパ管腫,血管腫,片側肥大,迷入筋などのほかに,症候群として,Russell-Silver症候群,Proteus症候群,Ollier病,Maffucci症候群,Klippel-Trenaunay-Weber症候群などの可能性がある.


診断のポイント

 隣接指,健側と比較して,明らかな長さ・太さの違いを伴った肥大がみられたら本疾患を疑う.


専門病院へのコンサルテーション

 巨指症の肉眼所見がみられた時点で,手外科専門医の

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