【疾患概念】
手掌腱膜,指靱帯へのコラーゲンの過剰沈着が原因の1つで,良性の線維芽腫症である.病態の進行とともに手指の屈曲拘縮を生じる.中高年男性に好発し,女性での発生はまれである.環指,小指に好発する.足底に足底線維腫,陰茎にPeyronie病そして指背側のknuckle padを合併することがある.
【頻度】
人種差があり,北米や北欧の白人男性に多くみられ,日本人の発生頻度は低い.糖尿病は発生の危険因子とされ,加齢とともに発症率は増加する.
【病型・分類】
手掌の索状物や硬結とそれらに伴う中手指節(metacarpophalangeal;MP)関節や近位指節間(proximal interphalangeal;PIP)関節の屈曲拘縮の程度で分類するMeyerdingの進行度分類がよく用いられる.
・Meyerdingの進行度分類
Grade0:屈曲拘縮はなく,小結節があるのみ
Grade1:屈曲拘縮を1指のみに認める
Grade2:屈曲拘縮が複数指に及ぶが,各指とも屈曲角度の総和が60°以下である
Grade3:少なくとも1指に60°以上の屈曲拘縮がある
Grade4:全指に屈曲拘縮がある
診断のポイント
・手掌皮下に無痛性の腫瘤,進行すると数珠様・索状に縦走する肥厚・硬結を触れる.
・進行すると手指伸展制限,屈曲拘縮が生じる(図16-20図).
・指が他動的にも伸展できないため,平らなテーブルの上に手掌を下にして手を置いて,上から圧力をかけても手掌をテーブルにぴったりとつけることができない(テーブルトップテスト).
・PIP関節背側に疼痛性腫瘤(knuckle pad)がみられることもある.
・MRIは通常不要であるが,単純X線で変形性関節症の合併の有無を確認する.
専門医へのコンサルテーション
指の屈曲拘縮が20°以上あり日常生活に支障を生じている場合には,酵素注射療法あるいは手術を考