【疾患概念】
基本的には打撲,切創,捻挫,閉鎖性骨折,小・低侵襲手術など比較的マイナーな外傷に続発して,高度で持続性の局所性疼痛を生ずる疾患である.アロディニアなどの感覚障害に加え,血管活動性異常,浮腫・局所性多毛,骨・関節・軟部組織の異栄養性変化,運動制御異常・情緒障害など多様な異常が出現する.米国人医師Silas Weir Mitchellが南北戦争において,銃傷に伴う比較的軽傷の末梢神経損傷例にまれに認める状況として,カウザルギアとよんで詳細に報告したことに始まる.その後ドイツ人医師Paul Sudeckが,骨折により誘発される例を報告した.以後も不可解な難治性疼痛として散発的に報告されていたが,1947年に米国人医師のJames EvansがRene LericheやWilliam Livingstoneの考えを取り入れ,脊髄レベルでの侵害受容ニューロンと交感神経の短絡を原因とする