診療支援
治療

むち打ち損傷(外傷性頚部症候群)
Whiplash associated disorder (WAD)
三木 健司
(大阪行岡医療大学医療学部 特別教授)

【疾患概念】

 自動車にヘッドレストが整備されていなかった時代に,追突事故後に頚部痛をはじめとしたさまざまな症状を呈し,骨折や脱臼がない頚椎部の軟部組織損傷で“むち打ち損傷”と呼ばれていたものである.外傷性頚部症候群の定義は「頚部外傷によって生じた頚椎ならびに神経の構築学的,神経学的帰結で,運動および神経系の多彩な異変だけでなく,精神神経学的ならびに耳性学的,視覚平衡機能障害をも伴う症候群」とされている.

【病態】

 これらは医学的見地に基づいた診断名ではなく,現在では,頚椎部に外力が加わった際に生じる障害を総称した“外傷性頚部症候群”の診断名で扱われている.この病態は古くから存在したものではなく,昭和39年にマスコミで「むち打ち症」という概念が大々的に報道されてから,報道される前の昭和38年と比較すると4年後の昭和42年には約34倍に急増したものであり,器質的な病態ではなく,心理社会的な病態と

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら

トライアル申込ボタンを押すとトライアル申込ページに遷移します

トライアルの申し込みが完了しましたら,ライセンス情報更新ボタンを押してください