診療支援
治療

思春期特発性側弯症に対する保存療法
Conservative treatment for adolescent idiopathic scoliosis
二階堂 琢也
(福島県立医科大学 准教授)

【概説】

 特発性側弯症とは,側弯症以外に併存する疾患がなく,X線像において椎体の奇形など異常が認められないものであり,側弯症のなかでは最も多い.特発性側弯症のなかで3歳までに発症するものを乳幼児期側弯症,4~9歳を学童期側弯症,10歳以降に発症するものを思春期側弯症とよぶ.思春期特発性側弯症(adolescent idiopathic scoliosis;AIS)に対する治療は自然経過と考えあわせ,多くの要素を考慮に入れながら行う必要がある.すなわち,暦年齢と骨年齢(Risser signなど),初潮年齢,身長の伸び,カーブのパターン(シングルカーブかダブルカーブかなど,高位,カーブの大きさ),本人・家族の希望や治療に対する理解度,などである.手術を必要とする患者はAIS全体の数%と少なく,多くの患者が保存的に治療を受けることになる.

 一般にCobb角25°未満では4~6か月ごとの経過観察でよい.25°以上で進行性あるいは今後進行の可能性が高い場合(未初潮,Risser sign0~1,身長が顕著に伸びているなど)には装具療法を考慮する.例えば,同じCobb角30°でもすでに初潮後2年を経過し,身長が伸びていない場合には治療介入を必要とせず,経過観察でよいが,未初潮,Risser sign0~1で身長の伸びが著しい場合や身長の伸びが想定される場合には,早期に装具を開始する.Cobb角が40°を超えて,さらに進行が予想される場合には,手術を考慮する.


1.保存療法の種類

 装具療法,運動療法などがある.側弯の進行防止に有効であることが一定の科学的根拠で示されている保存療法は,装具療法のみである.


2.装具療法の適応と実際

 装具療法は側弯を真っ直ぐに矯正することではなく,装具によって,矯正状態を長時間維持することにより,成長期における側弯の進行防止や手術時期を遅らせることが目的である

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