診療支援
治療

特発性側弯症の手術療法
Surgical treatment for idiopathic scoliosis
二階堂 琢也
(福島県立医科大学 准教授)

【概説】

 特発性側弯症は,女児に多く,体格が華奢で手足が長いなどの身体的特徴を有する疾患群である.また,胸椎では右凸の側弯,腰椎では左凸の側弯が多く,胸椎後弯が減少するなど弯曲の形態に共通点が多い.思春期では,弯曲による背部痛や腰痛を訴えることは少ない.発症年齢や身長,側弯の進行程度,弯曲のタイプや大きさなどにより,その治療方針や手術方法は大きく異なる.近年,手術方法を決定する場合,乳幼児期と学童期発症の早期発症側弯症(early onset scoliosis)と思春期発症の晩期発症側弯症(late onset scoliosis)に大別して検討されるのが一般的である.すなわち,早期発症と晩期発症に分類され,全く異なった治療概念と手術方法の選択が必要と考えられている.

 早期発症の特発性側弯症では,いかに成長を温存させながら側弯の悪化を予防するかが治療の主な目的であり,代表的な手術療法はgrowing rod法をはじめとする成長温存手術である.一方,晩期発症側弯症では,正常な三次元的脊柱形態を,いかに安全に,そして短い範囲の固定で行うかが焦点となっており,後方からの矯正固定術が現在主流となっている.弯曲のタイプによって選択的胸椎固定,選択的腰椎固定などの適否も検討する.


1.手術療法

 特発性側弯症の手術適応を検討する場合,年齢,Cobb角,変形の進行度,脊柱バランスなどが重要な因子である.また,患児やその両親の手術に対する理解度や希望を十分に確認する必要がある.手術の侵襲性やリスクなどの問題点については,複数回の説明機会を設けることが望ましい.医師だけでなく,看護スタッフなどを通じて,コミュニケーションが取れていることを確認することも重要である.

【1】早期発症特発性側弯症

 早期発症側弯症の多くは原因疾患を有する症候群性や,先天性,神経筋原性疾患などによるものであるが,明らかな

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