【疾患概念】
神経線維腫症(neurofibromatosis)は,全身の神経線維に多発性に腫瘍が発生する遺伝性疾患である.Type1(NF1)とType2(NF2)に大別され,NF1が脊柱変形を伴う.
【頻度】
NF1は3,000~3,500人に1人の割合で発生する.
【病型・分類】
NFに合併する脊柱変形はdystrophic typeとnon-dystrophic typeに大別される.
【臨床症状・病態】
脊柱の変形が主な症状であるが,dystrophic typeの変形は,進行すると脊髄麻痺を呈する可能性がある.すなわち両下肢のしびれや歩行障害を呈する.
診断のポイント
NFの診断にはNational Institute of Health(米国)の診断基準がある.またわが国では2018年に日本皮膚科学会がガイドラインを策定しており,そこで下記の診断基準が提示されている.
①カフェオレ斑が6個以上認められる
思春期以前 最大径5mm以上
思春期以後 最大径15mm以上
②神経線維腫が2個以上,または蔓状神経線維腫が1個以上認められる
③腋窩や鼡径部の雀卵斑様色素斑が認められる
④視神経膠腫
⑤2個以上のLisch結節(虹彩過誤腫)
⑥長脛骨異形成,脛骨偽関節などの特徴的な骨病変
⑦第一度近親者(両親,同胞,子)にNF1罹患者がいる
脊柱変形の診断は,外観,身体所見,および単純X線やCTといった画像検査を合わせて行う.MRIは腫瘍や髄膜瘤の評価に必要である.画像所見から脊柱変形はdystrophic typeとnon-dystrophic typeに大別される.Dystrophic typeは短く急峻なカーブを呈し特徴的な変化〔椎体のwedging,scalloping,rib penciling,硬膜拡張(dural ectasia)(図18-9図)など〕がみられる.一方,これらの