診療支援
治療

腰椎変性後側弯症
Lumbar degenerative kyphoscoliosis
高見 正成
(和歌山県立医科大学 教授(低侵襲脊椎外科手術研究開発講座))

【疾患概念】

 加齢性変化により腰椎が後側弯変形をきたした結果,腰背部痛もしくは下肢神経症状,あるいはその両者を呈する症候群である.

【病型・分類/病態または臨床症状】

 従来は腰椎変性側弯症と呼称されたが,現在では脊柱後弯変形なども含めた成人脊柱変形(adult spinal deformity;ASD)の一部として認識されている.ASDの形態学的分類として近年提唱されたSRS-Schwab分類では,矢状面アライメントが患者のQOL(quality of life)に深く相関するという研究結果に基づき,冠状面での30°未満のカーブはASDから除外され,PI-LL(pelvic incidence,lumbar lordosis),SVA(sagittal vertical axis),PT(pelvic tilt)を用いて矢状面形態が細分化された.

 臨床症状は,①腰部脊柱管狭窄症を主体とする場合,②アライメント異常を主体とする場合,もしくはこれらの混合型が存在すると考えれば理解しやすい.②では,局所の腰椎不安定症と脊柱グローバルアライメント異常に分かれる.グローバルアライメント異常では,筋疲労性腰痛と呼称すべき後弯症状が発現する.すなわち,立位や歩行の継続により次第に姿勢の屈みを自覚し,それとともに姿勢性の腰痛(単に“痛い”ではなく,“重い”,“つらい”などと表現することもある)を訴え,臥位により速やかに症状が消失する.安静時痛はきたさない.また前方注視困難由来の代償性頚椎過前弯による後頚部痛や肩こり,さらには胃部圧迫による胃食道逆流症をきたすこともある.


問診で聞くべきこと

 腰部脊柱管狭窄症による下肢症状,もしくは腰椎不安定症による機械的腰痛,あるいは矢状面アライメント異常による姿勢性腰背部痛を訴えているのかの問診は必須である.姿勢性腰背部痛では,臥位もしくはシルバーカー歩行に

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