診療支援
治療

Scheuermann病
Scheuermann disease
泉 恭博
(いずみ整形外科クリニック 院長〔広島市中区〕)

【疾患概念】

 Scheuermann病は脊椎骨端軟骨症で,診断基準には後弯角が45°以上,5°以上の楔状椎体が3椎体以上ある,思春期胸椎後弯症とされている.胸椎後弯変形は痛みが少なく,学校検診でも指摘されないので,高度な変形になるまで見落とされている.日常生活・運動などで,後弯脊椎に屈曲負荷がかかれば,輪状軟骨(ring apophysis)の成長障害をみて後弯が悪化する.胸椎後弯症はclassic typeとして分類されるが,atypical typeに分類される頚椎・胸腰椎移行部に発症した後弯変形が報告されることはまれである.

【病態の背景】

 運動器検診で手が床につかない体の硬い子供が,小,中学生の10~20%にも存在することが明らかになった.前屈制限があれば,椎体骨端線に過度な前方負荷がかかっており,脊椎成長障害を起こし後弯傾向になる.検診で前屈制限は指摘されても,二次検診施設では脊柱は部分評価されるので,後弯変形は軽視されている.筆者らの姿勢外来では,AeroDR長尺撮影をして全脊柱評価を心がけているので,前屈制限児には矢状面の異常弯曲が多いことに気付けている.


診察・診断

 診察では脊柱後弯変形は前屈位で弯曲の形状・程度の側面所見や,後弯の頂点部での色素沈着などの皮膚変化に注意する.X線評価では側弯変形同様にCobb法で後弯角を測定する.現在のclassic type(胸椎)に使用している45°以上の後弯という判定基準は,頚椎部や胸腰椎部には適応できない.Atypical typeには10°以上の後弯角,5°以上の楔状椎,椎間板狭小化,終板不整,Schmorl結節などの有無などの後弯因子で診断が下せるが,生理的前弯部にて起立位X線写真では過小評価されやすく,機能撮影が必要になる.頚部Scheuermann病の診断基準は検討中だが,腰部Scheuermann病には長座位に

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