【疾患概念】
高齢者における腰背部の過後弯であり,単に後弯症ともよばれる.骨粗鬆症をベースとした椎体の変形や骨折,椎間板の変性と菲薄化,背筋筋力の低下など複数の要因からなる.椎体骨折数が増えるほど胸椎後弯角は増大するが,後弯症のある高齢者のうち,椎体骨折があるのは1/3程度であったとの報告がある.
【頻度】
後弯症の有病率は,評価方法や定義にもよるが20~40%とされる.
【臨床症状】
背景に骨粗鬆症や新鮮椎体骨折がある場合は,腰背部痛を伴う.痛みを伴わない場合もあるが,後弯変形が進行すると,立位でのバランスを保持するための背筋の持続的な収縮により,筋血流低下,筋肉内圧の上昇が起き,遅発性筋痛をもたらすと想定される.後弯症では胃食道逆流症,呼吸機能の低下を伴ったり,バランス能力や歩行速度などの身体機能の低下,転倒,QOLの低下,生命予後不良との関連が報告されている.
問診で聞くべきこと
発症の時