診療支援
治療

環椎後頭骨癒合
Atlanto-occipital assimulation
半田 隼一
(福島県立医科大学 助教)

【疾患概念】

 後頭骨と環椎の一部または全体が癒合するもので,軟骨無形成症,脊椎骨端異形成症,Larsen症候群,Morquio症候群などの骨系統疾患に合併することが多い.胎生期第4後頭椎板と頚椎第1椎板との発生異常により生じる.

【頻度】

 有病率は0.08~2.76%,男女比の発生頻度はほぼ同数である.

【臨床症状または病態】

 扁平頭蓋,歯突起の頭蓋底陥入,Chiari奇形,環軸椎亜脱臼,癒合椎,椎骨動脈の形態異常を合併しやすい.外見上の特徴として,短頚,翼状頚,または頚部の位置異常(Klippel-Feil奇形の斜頚)を認めることがある.頚椎可動域は制限されることがある.また,延髄,小脳,脊髄の圧迫による神経症状を呈する.これらの症状は中年以降に発生することが多い.その理由として,歯突起周囲の靱帯弛緩,加齢性変化による骨棘形成などが推察されている.


問診で聞くべきこと

 頚部痛や頭痛などの局所症状や,神経症状(四肢のしびれ,ふらつきなど)を確認する.


必要な検査とその所見

 頚椎単純X線側面像での環椎と後頭骨との癒合,環軸椎亜脱臼や頭蓋底陥入の有無を確認する(図19-8).CTは,骨の形態がより詳細に評価できるため有用である.また,MRIで延髄,小脳,脊髄の評価を行う.椎骨動脈異常が疑われた場合は,CTもしくはMRアンギオグラフィーまたは椎骨動脈造影検査を行う.


診断のポイント

 神経学的所見のチェックと,画像検査で診断する.


専門病院へのコンサルテーション

 神経症状が出現した場合には,専門医へのコンサルトが望ましい.


治療方針

 癒合だけでは手術療法の対象とはならない.保存療法に抵抗する疼痛,または神経症状がある場合,手術療法の方針となる.


保存療法

 頚椎カラーや牽引療法を行う.


手術療法

 環軸椎不安定性がある場合,後方除圧固定術を行う.後方除圧固定術で前方からの圧迫が解除されない場合には,経

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