診療支援
治療

歯突起の形成異常(歯突起形成不全)
Anomalies of odontoid (dens), Dysplasia of the dens
横須賀 公章
(久留米大学 講師)

【疾患概念】

 頭頚移行部骨形態の先天異常の1つである.

 歯突起の形成については,発生学的に尖端骨核は3歳頃で出現し,10~12歳頃に歯突起として骨化し軸椎椎体と完全に癒合する.この時期に何らかの異常が生じることにより,形成異常が生じると考えられている.臨床的には頭蓋脊椎結合部の異常可動性を伴っており,この部位での脊髄圧迫症状を起こす危険性があるので注意を要する.

【病型・分類】

 先天性歯突起形成不全(congenital anomaly of the odontoid process)は,aplasia,hypoplasia,os odontoideum,persistent ossiculum terminaleに大別されるが,Greenbergの分類(1968年)が,最も理論的でわかりやすい.歯突起の形成異常は,Incompetence of Odontoid Processのcongenital typeに属し,5つに分類されている(表19-1).歯突起骨(os odontoideum)の原因については,先天性と後天性(幼少期における骨折後癒合不全)が考えられている.

【臨床症状・病態】

 形成異常が問題ではなく,環軸椎間不安定性の有無が臨床上問題となる.不安定性による脊髄の狭窄病変が環軸椎高位にあるため,上位頚髄障害を起こし,循環・呼吸・嚥下など,生命維持に不可欠な機能の障害を起こす.


問診で聞くべきこと

 幼少期の頚部の些細な外傷(minor trauma)の既往歴.


必要な検査とその所見

 頚椎X線,頚椎CT画像(図19-9)は診断に不可欠である.形態異常に続いて確認すべきは,環軸椎間の異常可動性の有無である.疑うときには必ず頚椎機能撮影を行う.歯突起骨のdystopic typeは後頭骨と癒合し,orthotopic typeは環椎後弓と癒合する.また,環軸関節不安定性

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