【疾患概念】
頚椎椎体の後方支持組織である後縦靱帯に骨化が起こることで,脊柱管内で前方圧迫因子となり神経症状をきたす疾患である.明らかな骨化病変があっても無症候性の場合は,「頚椎後縦靱帯骨化」とよび本疾患概念には当てはまらない.男性では女性の約2倍の頻度で多い.発症の原因は不明であるが,家族性が認められており遺伝的な影響が調査されている.また,内分泌・代謝疾患との関連や骨化発生・伸展にメカニカルストレスの影響も指摘されており,多因子が影響していると考えられている.厚生労働省の特定疾患研究事業の対象疾患に指定されている.
【臨床症状】
四肢のしびれや疼痛,頚部痛で発症することが多い.進行すると手指巧緻性障害(書字やボタンかけ,箸の使用が困難などの指の使いにくさ),歩行障害が出現し,重症例では痙性運動麻痺や膀胱直腸障害をきたす.他覚的には上肢腱反射の異常や下肢腱反射の亢進,病的反射が出現する.