診療支援
治療

頚椎後縦靱帯骨化症
Ossification of the posterior longitudinal ligament of the cervical spine (OPLL)
関 健
(東京医科大学 助教)

【疾患概念】

 頚椎椎体の後方支持組織である後縦靱帯に骨化が起こることで,脊柱管内で前方圧迫因子となり神経症状をきたす疾患である.明らかな骨化病変があっても無症候性の場合は,「頚椎後縦靱帯骨化」とよび本疾患概念には当てはまらない.男性では女性の約2倍の頻度で多い.発症の原因は不明であるが,家族性が認められており遺伝的な影響が調査されている.また,内分泌・代謝疾患との関連や骨化発生・伸展にメカニカルストレスの影響も指摘されており,多因子が影響していると考えられている.厚生労働省の特定疾患研究事業の対象疾患に指定されている.

【臨床症状】

 四肢のしびれや疼痛,頚部痛で発症することが多い.進行すると手指巧緻性障害(書字やボタンかけ,箸の使用が困難などの指の使いにくさ),歩行障害が出現し,重症例では痙性運動麻痺や膀胱直腸障害をきたす.他覚的には上肢腱反射の異常や下肢腱反射の亢進,病的反射が出現する.


問診で聞くべきこと

 四肢のしびれと疼痛の有無やその領域,手指の使いにくさや歩きにくさを聞く.予後に影響するため症状が出現してからの期間や,転倒など症状増悪の外傷エピソードがないかを確認する.


必要な検査とその所見

①頚椎単純X線検査(図19-16a):多くの症例では側面像で骨化病巣を確認することができる.しかし,骨化に連続性がなく小さい病変では骨棘など変性所見との鑑別が難しい症例もある.側面像が正確でない場合は正常所見を骨化病変と見誤る場合もある.胸腰椎でも靱帯骨化症を合併しやすいため,胸椎,腰椎の撮影も考慮する.

②頚椎単純CT(図19-16b):骨化病巣の確認に最も優れている.骨化病巣の形態や広がりが確認できる.

③頚椎単純MRI(図19-16c):神経症状が出現している場合,頚髄圧迫の程度や髄内輝度変化を確認することができる.髄内輝度変化のあるものは治療予後が悪い可能性がある.


鑑別診断で

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