【疾患概念】
二分脊椎は,胎生期の椎弓の癒合障害により脊柱管の後方の椎弓欠損を生じる先天奇形である.骨の異常とともに脊髄の異常を伴うものを特に総称して,脊椎癒合不全(spinal dysraphism)とよぶ.発生部位は腰仙椎が約80%を占め,髄膜,神経組織などの脊柱管の内容物の脱出を伴う顕在性二分脊椎と,脱出を認めない潜在性二分脊椎がある.臨床症状として,二分脊椎の部位に一致した種々の程度の下肢の麻痺や変形,膀胱直腸障害を合併することがある.成因としては多因子遺伝が考えられているが,葉酸の投与が発生率を減少させることが知られている.
【疫学】
わが国での脊髄髄膜瘤の発生頻度は,2,000の出産に1人の割合とされる.妊娠初期に葉酸を十分に摂取することで発生類度が減少するとの報告から,1990年代に米国や英国,カナダ,中国などで,妊娠可能性のある若い女性は葉酸を1日に0.4mg摂取するように勧