【疾患概念】
腰椎分離症は,発育期に発生する関節突起間部(pars interarticularis)の疲労骨折であり,過度なスポーツ活動が原因となることが多い.
【発生頻度】
男子が女子の約2倍の頻度であり,わが国では,野球,サッカーなどのスポーツ種目に多い.
問診で聞くべきこと
①スポーツ活動の有無と内容,②年齢(学年),③痛みの部位と性状を確認する.また,治療計画の立案には,④患者のチーム内での立場,⑤今後の練習・試合日程についても把握する.
必要な検査とその所見
(1)身体所見の評価
腰椎伸展・回旋時に増強する,限局した腰痛が特徴的である.触診で疼痛の範囲と圧痛点を評価する.棘突起の圧痛の存在は,当該椎の疲労骨折を疑うべき重要な所見である.
(2)画像所見の評価
CTは病期分類を行ううえで必須の検査である(図21-10図).3次元CTの矢状断像では,腹尾側から背頭側へ向かう骨折線を確認する.偽関節化した終末期では,辺縁の骨硬化性変化や遊離体が出現することがある.
MRIは,CTで異常所見が認められない超初期病変の検出や,骨癒合能の予測に有用である.STIR画像で椎弓根の骨髄浮腫(高信号像)を確認する(図21-11図).
診断のポイント
①スポーツ活動を行う発育期の腰痛患者で,数週間以上痛みが持続し,腰椎伸展で疼痛が誘発される場合は本症を想起する.
②腰痛が左か右の片側に限局して発症し,両側性の腰痛に移行する.あるいは,片側性の腰痛がいったん改善した後に,反対側の腰痛が出現する,という病歴が典型的である.
③CTとMRIは,正確な病期分類と骨癒合能の存在を確認するために必須の検査である.
治療方針
骨年齢と病期を参考に治療方針を決定する.小学生では,終末期を除いて,原則として骨癒合を目指す.この年代では,終末期に至った場合にすべりに移行する確率が高いためである.初期であれば3か月間,進行期