診療支援
治療

Perthes病
Perthes disease (Legg-Calvé-Perthes disease)
金子 浩史
(あいち小児保健医療総合センター 医長〔愛知県大府市〕)

【疾患概念】

 Perthes病は成長期に起こる阻血性大腿骨頭壊死である.血流障害の原因は明らかでない.成人の骨頭壊死と異なり,壊死部が2~5年かけて自己修復していく.力学的に脆弱な時期に荷重すると骨頭は圧潰し,放置すると変形が遺残する.病変は骨端だけでなく骨幹端に及ぶことがあり,大腿骨頚部の肥大や短縮がみられる.最終的に骨頭が球形に修復すれば予後は良好だが,変形が遺残すると相対する寛骨臼の形態も不良となり変形性関節症に進展する.

【頻度】

 5~8歳の男子に多いが(男女比5:1),低年齢または高年齢発症もまれにある.わが国の発症頻度は0.9/10万人であり,両側発症率は10%未満である.

【臨床症状】

 軽度な痛みと跛行を主訴に来院することが多い.痛みの部位は股関節に限らず,大腿部や膝関節のこともある.股関節可動域制限(特に外転と内旋)を認めることが多く,跛行や下肢痛を訴える児では必ず股関節の可動域を確認する.


問診で聞くべきこと

 痛みの部位と性質を問診する.Perthes病患者は注意欠陥・多動性障害の発症リスクが健常児と比べ1.5倍高く,日常生活における不注意や衝動性について保護者から聴取する.


鑑別診断で想起すべき疾患

 Perthes病は発症時に関節水腫を伴うことが多く,単純性股関節炎,化膿性股関節炎,大腿骨頭すべり症,若年性特発性関節炎,軟骨芽細胞腫などの鑑別が必要である.比較的頻度が高い単純性股関節炎は急激に発症して安静にて速やかに改善するが,Perthes病は緩徐に発症して症状が遷延する.化膿性股関節炎は発熱を伴うことが多く,血液検査で炎症反応を認める.大腿骨頭すべり症は好発年齢がPerthes病より高く,X線側面像で骨端の後方転位を認める.若年性特発性関節炎はPerthes病と同様に緩徐に発症するが,骨頭の変形はみられない.軟骨芽細胞腫は骨端に好発する良性骨腫瘍で,周囲の骨

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