【疾患概念】
大腿骨頭壊死症のうち,原因が明らかでないものは特発性大腿骨頭壊死症に分類され,「非外傷性に大腿骨頭の無菌性,阻血性の壊死をきたし,大腿骨頭の圧潰変形が生じると,二次性の股関節症にいたる疾患」と定義される.基礎疾患が明らかなものは二次性大腿骨頭壊死症に分類され,その基礎疾患として,外傷,潜水病,鎌状赤血球症,Gaucher病,放射線照射などがある.
【頻度】
わが国では,「特発性大腿骨頭壊死症調査研究班」によって全国規模の疫学調査および大規模医療施設における定点モニタリングが実施されている.2015年に実施された全国疫学調査では,年間有病率が人口10万人あたり18.2人,年間新患数は2,100人と推定されている.好発年齢は,男性では40歳台であり,女性は30歳台と60歳台に二峰性のピークがある.
【病型・分類】
治療方針を決定するために,病型(Type)および病期(Stage)分類を行う.
病型は壊死範囲の局在によって分類され,単純X線像,MRIの両方またはいずれかで判定する.
・Type A:壊死域が寛骨臼荷重面の内側1/3未満にとどまるもの,または壊死域が非荷重部のみに存在するもの
・Type B:壊死域が寛骨臼荷重面の内側1/3以上2/3未満の範囲に存在するもの
・Type C:壊死域が寛骨臼荷重面の内側2/3以上に及ぶもの
Type C-1:壊死域の外側端が寛骨臼縁内にあるもの
Type C-2:壊死域の外側端が寛骨臼縁をこえるもの
病期は大腿骨頭の圧潰と関節症性変化の有無について,骨頭の正面と側面の2方向X線像で評価を行う(図23-8図).
・Stage 1:X線像の特異的異常所見はないが,MRI,骨シンチグラム,または病理組織像で特異的異常所見がある時期
・Stage 2:X線像で帯状硬化像があるが,骨頭の圧潰(collapse)がない時期
・Stage 3:骨頭の