【疾患概念】
最大の長管骨骨折であり,交通事故や労災事故などの高エネルギーによる骨折と,高齢者によくみられる転倒などの低エネルギーによる骨折に二分される.前者は近年交通事故などの減少により少なくはなっているが,骨折部のみならず頭部,腹部損傷などを合併していることがあり,その初期治療には注意を要する.一方,後者は高齢者特有の骨粗鬆症による骨脆弱性とさまざまな合併症を有しており,手術に際して十分な評価が必要である.
【臨床症状】
大腿部における激痛,高度の変形,腫脹,下肢短縮を認める.大量出血にてショック状態を呈する場合もある.
問診で聞くべきこと
受傷機転が非常に重要である.高エネルギー外傷では本人から情報を得ることが困難な場合が多いため,受傷現場の状況や関係者よりできる限り情報収集に努めることが重要である.他方,高齢者では受傷前の活動度や併存傷病,認知症などの有無も治療方針の判断材料となる.