【疾患概念】
大腿骨遠位部骨折は交通事故などの高エネルギー外傷,または高齢者の軽微な転倒など低エネルギー外傷のいずれにも発生し,近年では大腿骨ステム周囲骨折ならびに人工膝関節周囲骨折などのインプラント周囲骨折の増加とあわせて,治療に難渋することが多い骨折である.関節近傍骨折であるため正確なアライメントの再建と,関節内骨折の場合は関節面の解剖学的再建が必要であり,多くの症例で強固な固定による早期運動を目的とした手術療法が適応となる.
【病態・臨床症状】
大腿骨遠位部,膝関節の腫脹や疼痛,骨折部の異常可動性,関節内血腫の貯留を示し,ほとんどの症例で自動運動や荷重は不可能である.骨折部では大腿四頭筋とハムストリングスの牽引力により短縮が生じ,内転筋と腓腹筋の牽引力により内反,伸展変形が起こる.高エネルギー損傷例では膝窩動脈損傷にも注意が必要である.
【病型・分類】
AO/OTA分類が手術方法の選択に