診療支援
治療

人工膝関節全置換術後の大腿骨骨折
Periprosthetic femoral fracture after total knee arthroplasty
内野 正隆
(博慈会記念総合病院 診療部長〔東京都足立区〕)

【疾患概念】

 人口の高齢化により人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty;TKA)症例は増加し,それに伴うTKA周囲骨折症例も増加している.軽微な外傷で発症することが多く,早期荷重をはかるため治療は手術を推奨する.高齢者は骨癒合能が低下しているので低侵襲手術に努めるが,骨質不良や骨量低下により骨折部の固定性が得られ難いため,治療に難渋することがある.

【頻度】

 TKA周囲骨折の発生頻度は,0.6~3%と比較的まれである.

【病態】

 原因は,コンポーネントの不適切な位置や大腿骨のnotch形成などの手術手技によるもの,人工関節の弛みに伴う骨融解,病的骨折,高齢女性,骨粗鬆症,関節リウマチ,神経疾患の存在,ステロイドの使用,stress shieldingなどが挙げられる.


問診で聞くべきこと

 受傷機序,疼痛部位,高齢者では併存する内科疾患,内服薬,認知症の有無,受傷前のA

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