1.膝関節を構成する骨
膝関節は人体で最大の可動関節であり,大腿骨,脛骨,膝蓋骨の3つの骨で構成される.大腿骨と脛骨は大腿脛骨関節を形成し,大腿骨と膝蓋骨は膝蓋大腿関節を形成する.膝関節腔内のこれらの3つの骨の表面は,関節軟骨という硝子軟骨組織で覆われており,荷重の伝達・分散や関節面同士の低摩擦での滑動に役立っている.関節軟骨組織は主として,typeⅡコラーゲン線維と水分を引き付ける機能があるプロテオグリカンなどの細胞外基質から構成される.関節軟骨は重量の約80%が水分,細胞成分が1%程度の組織で,血行や神経支配がなくその修復能力は高くない.
大腿脛骨関節は内側コンパートメントと外側コンパートメントに分かれ,荷重を支える機能を有する.膝蓋大腿関節は膝関節伸展機構の一部として機能し,膝関節を伸展させるときに大腿四頭筋収縮力を効率的に伝える働きがある.膝蓋骨は膝関節の前面に位置しており,膝関節