【疾患概念】
関節軟骨は関節の荷重伝搬,円滑な運動に寄与する組織である.組織内の70~80%を水分が占め,血管,神経,リンパ管組織が存在しないという特徴がある.そのために軟骨が損傷,変性しても軽度なものでは痛みを伴わず無症状であり,損傷が進行して初めて自覚されるというケースが多い.しかもその段階においても,血行を介する通常の組織修復機転は働かず,難治性となることが多い.軟骨損傷が重症化すると変形性関節症へと進行するリスクが高く,その段階以前に治療を行うことが重要である.
【臨床症状または病態】
軟骨損傷はその損傷の深さにより分類される(国際軟骨再生・関節温存学会;ICRS分類)が,その深さが軟骨深層まで達するようになると疼痛,引っ掛かり,関節水腫などの症状を認める.損傷軟骨片が母床から遊離するような場合には,嵌頓症状をきたす場合もある.
問診で聞くべきこと
軟骨損傷は1回の外力により生ずるもの