【疾患概念】
脛骨プラトー骨折は,膝関節機能と膝安定性に大きな影響を及ぼす.関節近傍骨折であるため,正確なアライメントの再建と関節面の解剖学的再建が必要で,多くの症例で強固な固定による早期運動を目的とした手術療法が適応となる.
【病態・臨床症状】
膝関節,脛骨近位部の腫脹や疼痛,関節内血腫を示す.頻度が高い外側プラトー骨折では外反変形を呈する.
【病型・分類】
2018年に修正されたAO/OTA分類が手術方法の選択に有用であり,広く使用されている.ほかにSchatzker分類も用いられる.
問診で聞くべきこと
受傷機序の詳細な聴取とともに,受傷肢位,疼痛部位などを問診する.職業,日常活動性の程度や自立度も確認する.
必要な検査とその所見
単純X線検査では正面,側面の2方向に加え,骨折を疑う場合は両斜位を追加する.健側との比較も重要である.
さらにMPR再構成像や3D像を含めたCTによる評価は必須で,関節面転位の評価や手術計画立案に有用である.血管損傷が疑わしい場合は超音波Doppler検査に加え,造影CTや動脈造影を考慮する.
鑑別診断で想起すべき疾患
大腿骨遠位部骨折や膝蓋骨骨折,膝靱帯損傷や半月板損傷が挙げられる.またこれらとの合併も考慮する.
診断のポイント
①変形・腫脹や開放創の有無の確認.
②神経血管障害やコンパートメント症候群の有無の確認.
③単純X線写真やCTによる,骨折の転位,陥没骨片の有無を含めた関節内骨折の評価.
④必要に応じて,造影CT,動脈造影やMRI評価を追加.
専門病院へのコンサルテーション
手術適応となる場合が多く,手術可能な整形外科専門施設,専門医による治療が望ましい.
治療方針
初期治療について,高エネルギー損傷で軟部組織状態の悪化が予想される症例やコンパートメント症候群症例では,創外固定や減張切開などの緊急手術が必要となる.
手術適応は年齢や活動性にも影響される
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