診療支援
治療

脛骨粗面骨折
Fracture of the tibial tubercle
髙木 博
(昭和大学藤が丘病院 准教授)

【疾患概念】

 脛骨粗面骨折は,脛骨粗面骨端核癒合以前の13~16歳に好発する比較的まれな骨折であり,全骨端線損傷中の割合は2~3%程度と報告されている.発生機序としては,跳躍時における膝屈曲位で足部固定にて大腿四頭筋が強力に収縮した場合と,ジャンプ着地時に大腿四頭筋が緊張した状態で強力な膝屈曲が起こった場合の2通りが考えられており,どちらの場合も膝蓋腱による脛骨粗面への牽引力による裂離骨折が生じる.

【分類】

 骨折型を3型(Type 1:脛骨粗面の骨片が一部剥離したもの,Type 2:脛骨粗面の舌状突起が剥離したもの,Type 3:骨折線が関節内に入るもの)に分けたWatson-Jones分類と,さらに詳しく6型に分けたOgden分類がある(図26-11).


必要な検査とその所見

(1)単純X線検査

 脛骨粗面骨折は単純X線検査で診断は可能である.

(2)CT

 骨片の転位の程度と,骨折線の詳細な評価のためにCTは有用である.

(3)MRI

 Type 3に半月板損傷や前十字靱帯損傷の合併損傷が報告されており,MRIを用いた評価は有効である.


診断のポイント

 多くはスポーツに活動におけるジャンプ(動作時や着地時)時に起こる.脛骨粗面に腫脹と疼痛および圧痛を認め,膝関節自動伸展が不能になる.13~16歳の男児に多い.要因として,急激な身長の伸びに伴う大腿四頭筋の柔軟性の低下や,Osgood-Schlatter病の既往などが挙げられている.


治療方針

 骨折部の転位を認めないものは,伸展位での長下肢ギプスによる保存加療を選択し,5~6週間の固定を行う.

 転位を認める場合は観血的治療の適応となる.固定法としては海綿骨スクリューでの固定が選択されることが多いが,骨片の大きさによってはtension band wiring固定などが用いられる.術後は固定力に応じて2~4週程度の外固定ののち,可動域訓練を

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