【疾患概念】
1879年フランスの外科医Paul Segondが発見した脛骨外側顆剥離骨折である.75~100%の確率で前十字靱帯損傷を合併すると報告されている.骨片が小さく見逃されやすい場合も多い.脛骨外側顆が大腿骨外側顆に対し前方に亜脱臼した際に生じるが,その解剖学的部位については多くの報告がある.外側関節包靱帯や腸脛靱帯,そして最近では膝外側に前外側靱帯(anterolateral ligament)が高い確率で存在し,その付着部であるとの報告が多く認められる.
【病態】
前十字靱帯損傷に合併するため,関節内血腫と膝関節前方動揺性および回旋不安定性を認める.受傷はスポーツに起因するものが多い.脛骨外側顆の骨折部位に一致した圧痛も認める.
必要な検査とその所見
(1)単純X線検査
膝関節正面像にて,脛骨外側顆の外側に剥離骨片を認める.骨片が小さい場合には注意が必要である.
(2)MRI
Segond骨折を見つけた場合には,MRI検査は必須である.前十字靱帯損傷のほか,半月板損傷や他の靱帯損傷および軟骨損傷の評価を行う.
診断のポイント
受傷機転は前十字靱帯損傷と同様で,スポーツ活動にて膝関節を捻り受傷することが多い.前十字靱帯損傷を疑った場合に,単純X線膝関節正面像の脛骨外側顆の外側に注目し,Segond骨折の存在の有無を確認することが重要である.画像上,大腿二頭筋腱付着部もしくは外側側副靱帯付着部の剥離骨折である,腓骨頭剥離骨折との鑑別が必要となる場合がある.骨片の位置の違い(腓骨頭剥離骨折のほうがより外側に位置する)と圧痛部位の違いにより鑑別することができる.
治療方針
Segond骨折に対する治療は不要であると考えられており,特別な治療は必要ない.合併する前十字靱帯損傷に対する治療を行う.多くのSegond骨折は,前十字靱帯再建術後に骨癒合を認める(図26-12図).