【疾患概念】
後十字靱帯(posterior cruciate ligament;PCL)損傷は,ラグビーなど接触型のスポーツ選手や交通外傷でよくみられる靱帯損傷である.スポーツでは膝前方からの相手のタックルなど,膝屈曲位で膝前面を打撲し受傷することが多い.交通事故では,膝屈曲位でダッシュボードに膝前面を強打することで生じる(ダッシュボード損傷).高エネルギー外傷の場合は,他の靱帯損傷や神経血管損傷,軟骨・半月板損傷,骨折などを合併することがある.PCL単独損傷の場合は保存療法によりスポーツ復帰が可能なことが多い.
【臨床症状】
受傷時は疼痛や脛骨近位前面の擦過傷や打撲痕,膝関節内血腫を認めることが多い.陳旧例では,下り坂や階段での膝不安定感を訴える場合が多い.
問診で聞くべきこと
受傷機転・肢位,脱臼感や腫脹の有無を入念に聴取する.陳旧例では,不安感や膝くずれの有無,疼痛部位を問診する.