診療支援
治療

半月板損傷
Meniscus injuries
堀部 秀二
(大阪府立大学大学院 教授)

【疾患概念】

 半月板は大腿骨顆部と脛骨プラトーの間にある線維軟骨で,円周方向に配列した密な膠原線維をtie fiberが束ねた構造を有している.この特徴的な構造により荷重の分散・伝達機能を担い,関節安定性にも寄与しているため,損傷が生じるとその力学的機能が破綻し,関節軟骨への負担が増加する.半月板は内側と外側に2つあり通常C型をしているが,外側は円板状の頻度がわが国では高く,完全型の発生率は2.2~6.5%と報告されており,正常型の半月板とは異なった構造をしている.膝関節の屈伸とともに半月板は前後に移動し,形態も変化しているため,損傷すると膝の屈伸運動やひねり動作に伴う痛み,ひっかかり感やロッキングといった特徴的な症状が出現する.外周辺部1/3にしか血行が存在しないため,いったん損傷した半月板は治癒しにくく,損傷半月板による症状は持続することが多いが,経過とともに軽減する場合や無症状の場合もある.

【病態】

 半月板はさまざまな原因で損傷するが,大きく単独で損傷する場合と靱帯損傷に合併して二次的に損傷する場合に分類できる.単独損傷例では,膝への外傷(捻るなどの大きな力や繰り返す微外傷)により生じるもの,形態異常を原因としているもの,加齢による変性に起因するもの,などに分類できる.形態異常である外側円板状半月板は正常型と比較して膠原線維の配列異常のために損傷しやすく,内側半月板の中・後節部変性断裂は加齢に伴い増加し,明らかな外傷なく発生することが多い.靱帯損傷合併例では前十字靱帯(anterior cruciate ligament;ACL)損傷が最も多く,内・外側半月板の中~後節部の縦/斜断裂が特徴的である.


問診で聞くべきこと

 外傷の有無を聞くことは重要で,もし外傷歴があれば外傷の時期や受傷機転などを,明らかな外傷歴がなければいつ頃から症状が出現したかを,聴取する.また,症状の

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