診療支援
治療

滑膜骨軟骨腫症
Synovial osteochondromatosis
新井 祐志
(京都府立医科大学大学院 准教授(スポーツ・障がい者スポーツ医学))

【疾患概念】

 滑膜骨軟骨腫症は主に関節内の滑膜組織から軟骨化成を生じ,硝子軟骨様の結節が増殖する良性の疾患である.軟骨化成が進行すると,滑膜から関節内へ遊離体を形成する.

【頻度】

 膝関節に発生することが多く,女性よりも男性に好発する.好発年齢は30~50歳代で,小児に発生することはまれである.

【病型・分類】

 Milgramらによる病期分類が用いられる.第1期:滑膜内の軟骨化生のみ,第2期:滑膜内の軟骨化生と関節内遊離体,第3期:関節内遊離体のみ.

【臨床症状または病態】

 関節の腫脹を伴い,疼痛および可動域制限を呈する.クリックやロッキングを生じることもある.


問診で聞くべきこと

 遊離体によるロッキングの症状について明らかにする.


必要な検査とその所見

 単純X線像で60%以上の症例において骨軟骨片が描出される.CT像では骨軟骨片がより明瞭に描出される.MR画像は石灰化や骨化していない軟骨病変の描出に有効であり,骨軟骨片の石灰化の有無によってさまざまな信号を呈する.軟骨片であれば硝子軟骨と同様で,骨軟骨片は骨髄内と同様の信号強度を呈する.


診断のポイント

 単純X線像から疑うことが比較的容易である.撮像時期によって遊離体が移動することがある.


専門病院へのコンサルテーション

 クリックやロッキングがあれば手術可能な専門病院へのコンサルテーションが望ましい.


治療方針

 保存療法は無効であり,関節内遊離体によるロッキングなど機械的な症状に対して手術療法が選択される.


治療法

 関節内遊離体に対して関節鏡視下摘出術が行われる.滑膜内に存在する病変に対しては滑膜切除の適応とする成書が多いが,良性疾患であるため手術侵襲を考慮すると最小限に留めることが望ましい.


合併症と予後

 おおむね予後は良好である.


患者説明のポイント

 放置すれば二次性変形性関節症の原因となる.滑膜病変が残存する場合には再発する可能性があるが

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