診療支援
治療

Sinding Larsen-Johansson病
Sinding Larsen-Johansson disease
中瀬 順介
(金沢大学 助教)

【疾患概念】

 1921年にSven Christian Johanssonの講義を基にChristian Magnus Sinding-Larsenが報告した膝蓋骨下端に発生するスポーツ障害の1つである.

【頻度】

 Osgood-Schlatter病と同じく男児に多くみられるが,Osgood-Schlatter病よりも発生年齢はやや低く,10歳前後での発症が多い.

【病態】

 膝蓋腱の牽引による膝蓋骨の骨化障害説が有力であるが,症状には膝蓋骨周囲の滑液包炎が関連しているとする報告もあり,詳細は不明である.

【臨床症状】

 膝蓋骨下極の運動時痛と圧痛が特徴的で,膝関節水腫や可動域制限は認めない.運動時および運動後の疼痛を認めるが,安静により症状は軽快する.鑑別診断には,急性発症で受傷機転を伴う膝蓋骨sleeve骨折が挙げられる.膝蓋骨sleeve骨折は骨化していない膝蓋骨軟骨の途絶を伴うため,その鑑別にはMRIが有用である.


問診で聞くべきこと

 外傷の有無,スポーツの種類とポジション,安静時痛の有無,発症からの期間.


必要な検査とその所見

(1)柔軟性の評価

 大腿四頭筋,ハムストリングス,下腿三頭筋の柔軟性を評価する.

(2)疼痛誘発テスト

 両脚ハーフスクワット,片脚ハーフスクワット,両脚ジャンプ,片脚ジャンプ時の疼痛の有無を確認する.

(3)X線検査

 膝関節側面像で膝蓋骨下極(膝蓋腱付着部)に不規則な骨化像や不整像など多彩な所見を呈する(図26-24a).

(4)超音波検査

 Bモードで膝蓋骨の途絶や不整像を,Dopplerモードでは骨途絶部や膝蓋腱付着部に血流シグナルが増加していることがある(図26-25).

(5)MRI検査

 T2強調像で,病変部周囲および膝蓋腱や膝蓋下脂肪体に高信号域を認める(図26-24b).


診断のポイント

 年齢,病歴,身体所見と画像検査で比較的診断は容易である.なかで

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