下腿は,躯幹~大腿を支持するとともに,脚と地面のインターフェイスである足部・足関節をコントロールするアクティブサスペンションの役割を担う.
1.骨と関節
脛骨は,骨幹部が三角円柱状の厚い骨皮質をもち,その前内側面は全長にわたって皮膚直下に位置する.遠位1/3の部分は,他方向でも筋の付着や被覆がなくなるために血流面で不利となり,外傷時の感染が生じやすく骨癒合も遅い.遠位端関節面は,足関節天蓋部の内側壁から上部荷重面までの主要部を構成する.
腓骨は,近位端の腓骨頭が脛骨外後方部に接合し,平面状の近位脛腓関節が微小な多方向可動性を許容している.骨幹部は三角円柱状で,脛骨外側後方から起こる幅広の靱帯(骨間膜)が遠位2/3の内側前方の稜に付着し,2骨間を連結する.遠位端の外果は,脛骨遠位端外後方の溝状部分にはまり込み,幅広な前・後遠位脛腓靱帯や骨間膜の延長である骨幹靱帯による線維性結合形成する.この遠位脛腓関節が,足関節天蓋の外側壁を構成する外果関節面に軸方向と回旋方向の微小な調節機能を持たせるため,足関節は接触圧の極端な上昇を伴わずに側方の骨性安定性を維持することができる.
下腿の支持機能は,前内側の太い脛骨が大半(>80%)を担い,後外側の細い腓骨の分担は10~20%とされるが,実際の分担割合は肢位や外力によって変化する.
2.筋と腱
前外側面には,伸筋群が走行する(図27-1a図).脛骨骨幹部前外側面の近位1/3は前脛骨筋の起始部で,腓骨の前内側面からは長母趾伸筋・長趾伸筋・第三腓骨筋が起こる.腓骨骨幹部の外側面では,中枢部からは長腓骨筋,末梢部からは短腓骨筋が起こる.
後面には,屈筋群が走行する(図27-1b図).後脛骨筋は脛骨骨幹部外側寄りの近位1/3部分,長趾屈筋は脛骨骨幹部内側寄りの中央1/3部分,長母趾屈筋は腓骨骨幹部後面の中央から遠位部を起始部とする.下腿三頭筋の
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